紅型師である金城昌太郎は、言います。
私の作品の原点は、大自然のスケッチにある。
琉球王朝時代に制作された沖縄の古典紅型にも、
初期の作品には本土の友禅模様を模倣したものがたくさんある。
そのような模倣した模様でも、
最初は誰かがデザインしないと作る事ができない。
という事は、
誰かがそれをスケッチした人がいた。
そう思った時に、
沖縄独特の創作紅型(びんがた)を作るには
沖縄の自然をスケッチしないといけないと思った。
と。
金城昌太郎の言う、スケッチとは、デザインや様式を超え、
原点となる自然や風景を絵に形に表すことだと感じられます。
昌太郎は、
沖縄本島あらゆる所にスケッチに行っております。
それは、自然の中にあるものから、デザイン、色合いと
あらゆるヒントを得るための行動なのです。
金城昌太郎は、琉球紅型のデザインは、「型彫り技術」で決まる。と言います。
その理由は、どんなに頑張ったスケッチも図案も
型彫りの技術が未熟では作者の意図を表現する事ができない!
と話します。
さらに昌太郎は琉球紅型の基礎を築いた
先人達の想いを少しでも感じる為に
「 ル ク ジ ュ ウ 」
という豆腐を乾燥させた道具を
型彫りの下敷きに使用します。
そして、昔から変わらない技法と道具を用いて制作する事で
琉球王朝時代の先人達も聞いたであろう
「音」を想像しながら昔と今をつなぎ
次の世代に人たちに琉球紅型の魅力を伝えていきたいと
昌太郎は話します。
金城昌太郎は、言います。
天然染料は、「鮮やかだけど、時が経つと共に
深みが増す美しさがある。」
古典柄の鮮やかな配色が40年を経て
深みを増して感じます。
さらに昌太郎の色に対するこだわりは、
顔料を溶かす染料にもあります。
それは、「豆汁(ごじる)」です。
可能な限り新鮮な豆汁に顔料を、溶かします。
水彩絵具のように、
自分がどんな色を表現したいかを考え、
自分の納得のいく色ができるまで工夫しながら、
何度もチャレンジしながら作っていく。
そのような、こだわりと試行錯誤の中で、
時とともに深まる色彩が生み出されていきます。